文= Francesca Chang 編集= 下山敬之
写真= 鄧毅駿、Taiwan Scene、楊艷萍
多くの若者が漠然と大学に入り、卒業後は普通に就職をして自分の将来を考えます。しかし、フランスから来たYouTuberのKuさんは「Kuの夢」というテーマで動画を投稿し大きな成功を収めています。Kuさんは24歳の若さで世界一周を果たし、フランスと韓国の大学をも卒業しました。また、西洋人にとっては難易度の高い韓国語と中国語を含めた4ヵ国語を操ることができます。そんなさんのYouTubeチャンネル「Kuの夢」には26万8000人を超える熱狂的な支持者がいます。Kuさん自身は現在台北市に住んでいて、主に台湾での体験を中国語と韓国語で紹介し、英語字幕を付けて投稿しています。特に台北市の永康街(ヨンカンジエ)での生活や台湾の食事を紹介した動画は大きな人気を集めています。
いざ台湾料理を追い求めて
Kuさんが初めて台北で生活をしたのは大学時代にインターンシップをした時でした。当時は韓国の大学に在籍していましたが、台北で仕事をするために3か月間滞在しました。インターン終了後は韓国に戻ったものの、単位を取るとまたすぐに台湾に戻ってきました。その理由は台湾の食べ物に魅了されたからで、韓国には2年以上住んだものの、その食文化には馴染めませんでした。「韓国の食べ物はとても辛い上に、しょっぱいです」と、ある動画の中で語っています。台北にはしょっぱい、甘い、辛い、ベジタリアン、健康食品など様々な選択肢がある上に、乳製品とグルテンを含まないというKuさん自身の食生活も実現できました。
もともと食べ物に対する関心が高かったこともあり、台湾現地の食べ物をテーマに様々な動画を製作しました。特に台湾に来るまでは一度も食べた事がなかったアジアと太平洋の島々で取れる紫里芋をこよなく愛しています。また、自身の母親を呼んで里芋のお菓子を食べさせるといった動画も投稿されていますが、この動画を撮影した時はまだ韓国に住んでいました。しかし、寒い韓国よりも亜熱帯で暖かく、さらに綺麗な島へ誘いたいという思いから台湾を選びました。
多くの外国人は台湾名物の「臭豆腐」を嫌がりますが、Kuさんはフランスで長年間熟成した匂いの強いチーズを食べていたので、臭豆腐も普通に食べる事ができます。他にも台湾名物の「皮蛋」(ピーダン)も好きですが、甘さやしょっぱさ、辛さが混ざった複雑な味のする「宮保皮蛋(ゴンバオピーダン)」は食べられないそうです。他にも鶏の爪が好きではないそうで、その理由として骨にかぶりついてわずかの皮を食べるのはコスパが悪いからだそうです。しかし、一度通りすがりのニュージーランド人と一緒に鶏の爪に挑戦する動画を投稿していました。
Kuさんは一風変わった食べ物ばかりに注目しているわけではなく、台湾料理全般の独特性や魅力を紹介し続けています。それもあってか、Kuさんは全てのフランス人観光客に台湾の朝ごはんのお店を推奨しています。朝ごはんのお店とは台湾では一般的なお店で、早朝からオープンしサラリーマンや学生にサンドイッチや豆乳、コーヒーなどの朝食を提供しています。フランスの朝食は質素にクロワッサンなどで済ませる事が一般的ですが、台湾の朝食屋さんは大きな鉄板の上で卵焼きや蘿蔔糕という大根餅、ハンバーガー、台湾式クレープなど様々な料理を提供しています。また、お昼まで開いていることもあって、ゆっくりと新聞紙を読みながら、又はお友達とお喋りしながらゆったりと朝食を楽しめます。
現地の人と同じものを食べる
多くのフランス人は毎日食事の時間を守り規則正しい生活を送る上に外食をする人もほとんどいません。そんな食文化を持つ人たちにとって台湾の24時間いつでもすきな時に外で食事ができる環境は全く新しい概念であるとさんは話します。しかし、Kuさんが台湾に戻ってきた理由はこうした食文化だけが理由ではなく、台湾人の優しい心遣いに感動した事が大きな理由でした。最初は何度も見知らぬ人に助けてもらったそうです。「台湾人は英語が話せるかどうかに関わらず、観光客を助けようという意識を持っています」Kuさんは自分の行きたかった場所まで連れて行ってもらったときのことを嬉しそうに話してくれました。また、こうした友好的な人たちの助けがあったおかげで美味しい台湾の食事を体験することも出来ました。その中のいくつかは中国語のメニューが読めないさん対してレストランで出会った人がおすすめしてくれたものだそうです。他のアジアの国々を回ったさんもここまで親切にしてもらった経験は初めてでした。
Kuさんとグメ巡り
Kuさんにお話を聞かせて頂くにあたり、台北の美食街とも言える永康街の公園近くで待ち合わせをしました。台北は建物が多いコンクリート・ジャングルでありながら、公演のような木々などの自然がある場所は至るところにあります。こうした自然と都市の共存の影響を受けてか、Kuさんは繰り返し使える竹のストローやお箸など食事の際に使う道具を見せてくれました。現在台湾では政府によって割り箸やストローといった使い捨ての道具の処分が厳しくなっていますが、Kuさんはそういった影響も考慮してMy箸やMyスプーンを使っているそうで、台湾の環境問題にも貢献したいという考えがあるそうです。
その後、永康街の中にある露天やミシュランを獲得した有名な鼎泰豐(ディンタイフォン)がある通りを歩き、途中にある有名な天津葱抓餅(ティエンジンツォンジュアービン)の行列に並びました。葱抓餅はクレープ生地の中にネギが入った食べ物です。中にはチーズが入っていますが、Kuさんはアレルギーがあるためチーズ抜きを注文しました。次に目指したのはKuさんの大好物である里芋が入った飲み物をドリンクスタンドで買いました。台湾のドリンクスタンドは顧客の注文に応じて砂糖や氷の量を調節することができます。ここではKuさんの自前のストローが登場しました。
台北旅行のアドバイス
Kuさんは自身の経験から、多くの観光客に対して台北の食べ物や文化に触れてほしいと願っています。また、実際に台北に来た観光客に対しては、「現地の人と一緒に食事をすること」、「観光ガイドだけに頼らないこと」というアドバイスをしています。台湾の人々は非常に友好的でもてなす心を持っているので、一緒に食事をしてくれる現地の人を探すことはそれ程難しくないと話します。これはKuさんの動画でも証明されていて、実際に友好的な人が多いことがわかります。こうした人の暖かさや独特な文化は台北という都市が持つ魅力の一つであり、Kuさんが多くの人に伝えたいポイントでもあります。ぜひ観光でお越しの際にはたくさんの台北グルメを堪能してみて下さい。
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