二本餐庁 洋風ベジタリアンのオアシス
台北にはベジタリアン料理の店があちこちにありますが、欧米スタイルの洋風ベジタリアン(しかも美味しい)料理を見つけるのは少し難しいかも知れません。そこで「二本餐庁(Herban Kitchen & Bar)」で、オーナーのマルコ・ヘンリー・ラプカ(Marco Henry Lapka)さんにベジタリアニズム(菜食主義)やヴィーガニズム(完全菜食主義)、台湾の素食(ベジタリアン)料理について食事をしながら伺いました。
台北の最先端を行く大安区。その静かな路地の突き当りにある二本餐庁は、台湾によくある素食料理のレストランとは全く異なります。仏教徒向けの素食店が掲げる「卍」マークはなく、華美な雰囲気もありません。
二本餐庁に飾り気がないのには理由があります。マルコさんは生まれも育ちも気取らない土地柄の米国中西部。しかも、礼儀正しく控えめで温厚な人柄を指す「ミネソタナイス」という言葉を生んだミネソタ州の小さな町の出身なのです。
「ゆるやかな菜食主義」の哲学
「台湾では20年近く、人生の半分を過ごしたことになりますね」。二本餐庁のコンセプトは「ハーブ(herb)」と「都会(urban)」。また、硬と軟、陰と陽、植物と都市などさまざまな組み合わせも反映しています。「再利用した材料で、快適な都会のオアシスを作ろうとしています。ゴールは美味しくて食べ応えがあって肉を使わない、幸せを感じる料理を提供することです」
「料理のために動物の命を奪わない」二本餐庁ですが、ヴィーガニズムとは一線を画しています。ヴィーガン(完全菜食)は、動物由来の食材はたとえハチミツでも口にしません。でも、二本餐庁の料理は厳選された牛乳や卵、チーズを使っています。とはいえ、厳格なヴィーガンもこの店を気に入るでしょう。ちなみに、マルコさん自身はヴィーガンでもベジタリアンでもありません。
「私はむしろ減量主義、あるいはゆるやかな菜食主義です。月に何回かは肉を食べますし、牛乳はもう10年以上前から飲んでいませんが、アイスクリームやチーズ、バターは時々食べます」。マルコさんは菜食主義を妥協を許さないものではなく、幅のあるグラデーションとしてとらえています。「肉や野菜をどれだけ食べるのか、あるいはどれだけ食べないのかは、自分次第です。うちは、ヴィーガンもベジタリアンも提供しています」
インドを除けば、台湾は世界で最もベジタリアンの人口比率が高いところです。台湾人の10~15%が自分をベジタリアンだと考えていますが、毎日ではなく定期的に数日間、宗教的な理由で肉食を控える人たちも多く含まれます。一方、台湾の素食料理には豊富な選択肢がありますが、味の多様さという点では何かが欠けているとマルコさんは言います。また大豆やグルテンで作られた、肉もどきの加工品をかなり使います。
欧米スタイルの
素晴らしいベジタリアン料理
二本餐庁は加工食品をほとんど使いません。ベジタリアンでありながら真の洋風料理です。17時までのブランチは有機卵にホームフライ(さいの目のジャガイモのカリカリ炒め)、コレステロール高めだけど美味しいオランデーズソース。ほかのメニューも、「美味しくて超ヘルシー」なサラダやローフード、「超美味しいけどヘルシー」なパスタやテンペバーガー、リゾット、3種のチーズ、ニンニクのアイオリソース、全粒粉パンの「おい、人生は一度きりだぜ、すっげえうまいぞ」なサンドイッチまで、バラエティ豊かです。
グルテンフリーの料理も豊富にあります。小麦粉を使わずにサツマイモのでんぷん粉で作ったニョッキなどは、小麦粉アレルギーの旅行者がレストラン探しに困ることのあるこの町では素晴らしい選択肢でしょう。
おすすめは、この店の看板メニュー「ムサカ」。ジャガイモ、ナス、ズッキーニ、トマト、タマネギ、ニンニクとエシャロットを重ね、ベシャメルクリームソースとチーズをかけたグラタンのようなギリシャ料理です。
マルコさんはこう言います。「多くの業者と協力して、なるべく地元で栽培された旬の材料を使うようにしています。店で使うほとんど全ての野菜やスパイス、それからパンなどを作る穀物や小麦粉もそうです。唯一の例外は乳製品で、牛乳とチーズは輸入品です。地元で作られる産の乳製品の添加物と材料の品質に関しては、まだ確信がありません。自信を持って料理を提供するためです」
台北でおすすめの
ベジタリアンレストラン
当然、マルコさんは二本餐庁が台北一のベジタリアンレストランだと考えています。しかし成功したレストランのオーナーだって、時々は他店で時々食事をする必要があります。
「洋食以外のベジタリアンレストランでは、好きな店が2軒あります。ひとつは、本格香港飲茶を提供する中山区の『養心茶楼』。完全な菜食メニューで、珍しい点心が楽しめます。もうひとつはその近くにあるベジタリアンの回転寿司『水問蔬食園』です。料理は素晴らしく、とても美味しい。もちろん、どこにでもあるこじんまりとした麺の店も好きです。ベジタリアン料理を食べるのは、台湾では難しいことではありません」
デザート(最高のティラミス)が運ばれてくると、マルコさんは自身のゆるやかな哲学について話を続けました。完全なベジタリアンになる準備はできていないけれど、今より少しだけ健康で、環境に優しい方法で食習慣を変えようとしている人たちに、こうアドバイスします。
「菜食主義はその昔、ヒッピーのものという印象でしたが、今は違います。みんなが肉をやめる必要はありませんが、動物性食品を減らすのはよいことです。まず、1日に1食、肉を食べないことから始めてみてはどうでしょうか。効果があれば、1週間に1日肉食を休みみましょう。そして自分がどう感じるか、確かめるのです。私は肉を食べなくなればなるほど、肉を食べたいと思わなくなりました」
二本餐庁
大安区忠孝東路四段101巷27号
www.herban.tw
沒有留言:
張貼留言