陸上競技場の上空に美しいアーチを描いて飛んだやりが、80 メートルラインを超えて地面に突き刺さる。昨年、韓国で開催された光州ユニバーシアードで、この一投により銀メダルに輝いた黄士峰選手(台北市立大学競技スポーツトレーニング大学院)は「金を逃した悔しさは2 年後の台北ユニバーシアードで晴らす」と語ります。現在、男子やり投げの台湾記録を保持する黄士峰選手は若くして頭角を現し、2009 年にはエストニア、イタリア、カタールのドーハで開催された国際ユース大会で連続して金メダルを獲得。さらに同年、その年に最も活躍したアスリートに送られる「精英奨」の最優秀新人賞に選ばれました。 そして2013 年、高雄市で行われた「港都杯全国中学校・オープン陸上競技選手権大会」において79 メートル84 センチという驚異的な投擲(とうてき)を見せ台湾記録を更新。さらに同年末には中国天津市で開かれた東アジア競技大会で82 メートル11 センチを叩き出し、記録をさらに塗り替えました。その後、一時的なスランプに陥りましたが、昨年の光州ユニバーシアードでは早々に調子を取り戻し、まずまずのパフォーマンスを見せました。
44 センチの差で金逃した 光州ユニバ
光州ユニバーシアードでは、第2 投目で81 メートル27 センチを出しましたが、試合中に左足首をひねり、助走に痛みを抱えながらの投擲となったこともあって記録を伸ばせず、わずか44 センチの差で優勝を逃しました。「もっと良い記録が出せたと思うが、後の方は全力で投げられなかった」という黄選手は2 投目が最終記録となり、金メダルを獲得したエストニア選手も第1 投目で優勝記録を叩き出したため、決勝は最初の2 投で勝敗が決まる格好となりましたが、選手たちの美しい投擲に観客は息をのみ、会場は大いに盛り上がりました。
2015 年最優秀アスリートリオ五輪・台北ユニバに全力
昨年6 月に中国・武漢で行われたアジア陸上競技選手権大会でのパフォーマンスについて黄士峰選手は、「記録自体は79 メートル74 センチと光州ユニバーシアードに及ばなかったけれど、優勝したことで北京で開かれる世界陸上に参加し、リオデジャネイロ五輪の出場資格を狙うチャンスが得られた」と語りました。ところが、同年8 月に開催された世界陸上では、3 度の投擲のうち2 度のファールを犯すなど絶不調に陥り、唯一、記録が認められた1 投も75 メートル72 センチと低調に終わってしまいました。ただ、同大会は振るわなかったとはいえ、一年を通して見れば大きな成果を挙げたとして、この年の終わり、「精英奨」で男子部門の最優秀選手賞に輝きました。
今年前半、五輪参加標準記録の83 メートル突破を目指し5 大会への出場を予定する黄選手は、「無事に標準記録を突破してリオ五輪への準備に全力を挙げ、さらに再来年の台北ユニバーシアードへつなげたい」と語っています。やり投げ台湾代表チームの薛聖融コーチは黄選手について、「練習では安定して80 メートル以上を投げている。ただ試合では練習とは状況が異なるため臨機応変な対応が必要だ」と指摘した上で、「地の利がある台北ユニバーシアードでは、これまで以上の力を発揮できるはず」と太鼓判を押しています。
さまざまな大会を通して経験を重ね、技術をさらに高めていけば、黄選手が台北ユニバーシアードでメダル争いに加わることは間違いありません。これまで既に2 度、ユニバーシアードに出場している彼は、ふるさとの人々が見守る中、前回、前々回を上回る成績を達成し、3 度目の大会を美しい思い出として残したいと語っています。
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